あらすじ

昨年半ばからチームのリーダーのうちの一人を担当しており、今年度からディレクターという立場になった。 「ディレクター」なる肩書の職域に一般的なマネジメント職が含まれるものなのかいまいちわかっていないが、 やるべきことはマネジメント職であるという自覚を持っている。

課題

目の前の課題としては、

  • 「売上増」
  • 「技術的負債(前借り)の返済」
  • 「開発速度の向上」

などがあげられるだろうか。

何からやりますか

経営者の立場からすると「売上増」は当然の要求と思える。 従業員の立場からしても、売上増への貢献こそが給与交渉時に最も強い言葉となる。 双方、何をおいてもこれを目指すべき目標とするというのは、 これは全く以て正論ど真ん中である。 だがしかし、そううまくいかないから頭を抱えている。

一つに「売上増」を達成する場合には、開発陣にとって面白くない景色が浮かぶ。 B2Bよりの企業なので、「潜在的顧客要望に応える」というのが「売上増」への一番の近道だからだ。 以下点で懸念がある。

  1. 顧客要望を実現したとしてその機能があまりにも狭い範囲でしか有効でないことが往々にしてある
  2. 既存システムの中に不透明な部分がいくつかある
  3. また、既存システムがそもそも期待通りに動いていないことがまれにある
  4. 主に以前にリリースされた「あまりにも狭い範囲でしか有効でない機能」がまさにそれ

というところである。

では先に「技術的負債(前借り)の返済」に注力すべきか、というとそれもまた難しい局面を迎えている。 ほじくればほじくるほど、バグがみつかることが多々あり際限がなくなっていく事象がみられている。 開発リソースは限られており、こちらに注力するということは、 その間「売上増」には全く貢献ができないということになるのだから、経営者はこれを嫌がる。 「ちょっとは理解してほしい」ということを考えなくもないが、 とはいえ「自身の財産をかけてやっている」のだから、その意見は尊重すべきとも思える。

ふうむ、すると「開発速度の向上」を狙うのか。 楽観的に考えるとこれが一番よい気がする。 そもそも「売上増」と「技術的負債(前借り)の返済」は相反するように見えている。 だけど「開発速度の向上」については、「(どちらであれ)開発をしながら」狙っていけるよう思えたからだ。 ちょっと虫よく考え過ぎと言えなくもないが、そう思ってやっていくほかない。

そもそも「開発速度の向上」とは何を意味するのか

単純に個々人の頭の周りが速くなることを意味するわけではないと思う。 思うにこれは「開発からリリースに至るまでのボトルネックの改善」を意味するのではないか。 そうすると「開発速度の向上」を目標として掲げるからには、以下の仕込みが必要となる

  1. 開発リソースの分配状況の計測
  2. そもそもリソースが不足している部分の抽出

なるほど、これなら僕にでもできそうだ。 「技術的負債(前借り)の返済」とか絶対に必要だよねと感じるわけなんですが、 その一方で「射撃しつつ前進」などの話を聞くと、そればっかりでは死に至る懸念を感じざるを得ない。 できていないことは

  1. テスト自動化(そもそもテストがない)
  2. 自動デプロイ

など様々あるのだけど、 それらを揃えることを声高に言っても「技術者の自己満足」に終わってしまう可能性がある。 必要なのはわかっているがそこに注力している間に、自身の会社がなくなっているかもしれないことを考えねばなるまい。 必要だとわかっているから、晴れてそのフェーズを迎えるために、どうしても今は「売上増」が必要なのかもしれない。 その中で「さすがにこの機能実装に対して、この売上では割に合わないでしょ」という話はして行きたくも思う。 結局のところ人間が一番高いのだから。